予防歯科

病気を未然に防ぎ
お口の健康を維持する
予防歯科
歯科医院で行う「予防」の特徴はプロの目線でクリーニングを行い、磨き残しが発生する箇所を丁寧にアドバイスし、効果的なセルフケアに結びつけています。
定期的に歯科医院に通っている方ほど、将来健康な歯が残っているという研究データもあります。痛みや違和感が出てからではなく、なんでもないときに歯科医院へ来院する習慣を身につけましょう。
予防歯科とは
病院でしか取り扱えない道具や機器を用いながら、むし歯や歯周病を事前に防ぐためのケアをおこなう診療科が予防歯科です。
日々、歯ブラシや歯間ブラシによるケアを徹底している方でも、すべての汚れは落としきれません。歯の形は思っている以上に複雑で、そのすみずみまでを自ら確認することは難しいのです。
お口の健康を保つため、ぜひ年に数回は予防歯科へお越しください。歯科医院の設備で歯の状態を詳しく確認・清掃する「プロケア」と、歯科衛生士や歯科医院の指導のもとご自身でおこなっていただく「セルフケア」の両輪によって、お口の病気を未然に防ぎましょう。
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01
プロケア(プロフェッショナルケア)
歯科医院で行う歯の表面についた歯垢(プラーク)や歯石を取り除く処置などを指します。
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02
セルフケア
ホームケアとも言い、毎日の歯磨きなどのご自宅などで行う予防処置を指します。
予防歯科の重要性

現代の歯科治療技術はめざましく進化していると言えど、むし歯治療をした後のお口の機能は元の健康なお口にはかないません。治療しなければならない状態になる前に、ケアを徹底して予防することが非常に重要なのです。
予防歯科を実践すればむし歯や歯周病を未然に防げるだけでなく、もし病気にかかっても早期に治療を始められるため、歯を削る量が少なく済み、体の負担も抑えることができます。
お口は、食道、胃、腸へとつながる消化器官の入り口であり、歯は「食べ物を咬みくだく」という重要な役割を担っています。歯の本数が少なくなるほど食べ物をしっかり咀しゃくできなくなり、栄養の吸収を妨げるとともに胃腸に大きな負担がかかってしまいます。
よって、お口から全身の健康を支えるうえで歯を守ることが重要なのです。
EMSエアフローによる
誘導的バイオフィルム療法
誘導的バイオフィルム療法(GBT)とは
誘導的バイオフィルム療法(GBT)とは、むし歯や歯周病の予防処置の一種で、お口の中の細菌が集まってできるバイオフィルム(細菌膜)を除去するものです。
従来の予防処置は、歯に付着する歯石や着色汚れを除去するものが一般的でした。しかし近年では、むし歯や歯周病はバイオフィルムが引き起こす感染症であることがわかってきています。
誘導的バイオフィルム療法は、一口腔単位でバイオフィルムをはっきり視認できる状態にしたうえで処置を施します。治療器具が不必要に歯や歯ぐきに接触するのを極力防ぐことで、歯のエナメル質や象牙質、歯ぐきなどにとって優しい形でバイオフィルムを除去することが可能です。
仕上がりとしては口の中のバイオフィルムをリセットするようなイメージしていただけたらと思います。
誘導的バイオフィルム療法(GBT)を行うメリット
- Point.01歯を必要以上に傷つけない
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従来の形式のクリーニングに用いられる超音波スケーラーなどの器具は、歯やインプラントを傷つけてしまう危険がありました。天然歯のエナメル質に傷がつくと痛みが生じたり、その箇所にむし歯を発症したりすることも。インプラントの場合も、耐用年数が短くなってしまう可能性があります。
誘導的バイオフィルム療法では、エアフローという器具を主に使用します。治療器具が歯に直接触れることが極力ないようにして処置をおこなうため、歯やインプラントを傷つけずにバイオフィルムや歯石のみを除去することが可能です。
- Point.02予防処置が速く終わる
- 誘導的バイオフィルム療法は、除去すべきバイオフィルムをあらかじめ染め出したうえで処置をおこないます。従来のクリーニングのように歯を傷つけてしまう危険性が低く、正確・的確な処置が可能となりました。
また、必要な箇所に必要な処置のみをおこなうため、予防処置にかかる時間が大幅に短縮され、患者様の精神的・身体的負担も抑えられています。 - Point.03矯正中でもしっかり予防
- 歯列矯正の装置をつけている間は、歯ブラシなどでのセルフケアが行き届きにくくなることからバイオフィルムが増殖しがちです。ワイヤーの摩擦で歯を傷つけたり、歯肉炎、齲蝕を引き起こしたりするきっかけになってしまいます。
プラスパウダーを用いたエアフローは、セルフケアでの対処が難しい箇所も清掃しやすいため、安全かつ効果的に歯やブラケットに付着したバイオフィルムを除去することが可能です。
EMSエアフローとは

エアフローとは、歯面清掃をおこなう機器の一種です。微細なパウダー粒子を歯に向けてジェット噴射することで、歯にこびりついている汚れを除去できます。中でもEMSエアフローは、少量のパウダーでも効率的に汚れを落とすことができるため、誘導的バイオフィルム療法に適しています。
微細なパウダー粒子を塗布するという仕組み上、刺激に弱い方や歯周治療中の方でも負担が少ないことも強みです。そのほか、快適かつ短時間で済むクリーニングを受けたい方、予防処置とともにコーヒー、タバコなどによる着色汚れを落としたい方などにおすすめです。
診療前の注意点
- 自費治療になるため、保険診療に比べ費用がかかります
- 喘息など、一部の持病がある方は処置を受けられない場合があります
- 歯周病をお持ちの方は、先に歯周病治療(保険診療)が必要となる場合があります
- 汚れが多い場合は、2回に分けて清掃をおこないます
誘導的バイオフィルム療法
(GBT)の流れ
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Flow01診査~プロービングと口腔内状況の確認~
はじめに、口腔内の診査診断によって歯・歯ぐき・歯周組織の状態を評価します。インプラントを埋入されている方は、同様にインプラントやその周囲組織の状態評価もおこないます。
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Flow02染め出し~バイオフィルムの可視化
バイオフィルムを染め出して可視化します。染め出しの結果を踏まえて、患者様にバイオフィルムと問題のある個所についてのご説明をいたします。
バイオフィルムを処置前に染め出すことには、処置をおこなう箇所の目安がわかるという大きなメリットがあります。また、バイオフィルムを的確に除去することで、その後の歯石の検出が容易にもなります。
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Flow03情報提供~患者様の意識向上
予防の重要性を患者様にもご理解いただくため、むし歯・歯周病についてのご説明をいたします。その後、より効果的なセルフケアに取り組んでいただくためのブラッシング指導をおこないます。
ブラッシング指導の際には、歯科衛生士が患者様それぞれに最適な清掃器具をおすすめいたします。
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Flow04歯肉縁上・縁下のエアフロー~歯石の除去および歯面研磨
エアフローを使用し、天然歯・修復物・インプラントに付着しているバイオフィルムステイン、早期歯石の除去と表面研磨をおこないます。
バイオフィルムに対しては、歯肉縁上と縁下4mmまでの歯肉溝に対して平均粒径14μmのプラスパウダーを、エナメル質に残った強固なステインに対してはレモン味パウダーをそれぞれ塗布します。
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Flow05歯肉縁下のペリオフロー~歯周ポケット内のバイオフィルム除去
エアフローによって、4mm~9mmの深い歯周ポケットの中に付着しているバイオフィルムを除去します。
なお、インプラントを埋入されている方に対しては、インプラント周囲溝から処置をおこないます。
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Flow06スマートピエゾンとPSチップ~残った歯石の除去
バイオフィルムの除去が完了したら、歯肉縁上・縁下に残った歯石の除去をおこないます。
歯石除去にあたっては、スマートピエゾン・PSチップと呼ばれる器具を使用します。歯や歯ぐきを傷つけるリスクが低く痛みも少ないので、効率的・徹底的な処置が可能です。
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Flow07指差し確認~最終チェック
バイオフィルムや歯石の取り残しがないことを確認します。
処置後の最終確認の際は、歯科衛生士と歯科医師による2重チェックのもと再評価(診断)をおこないます。最後に、むし歯や歯周病から歯を守るため歯面にフッ素を塗布します。
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Flow08指差し確認~歯肉の健康=生活の向上
リスク分析に従ってメインテナンスのスケジュールを計画し、最後に患者様に治療を評価していただきます。
歯科医院で行う予防歯科
プロフェッショナルケアについて
歯のクリーニング(PMTC)

PMTCとは、歯科医院でしか扱えない専用の機器を使って、セルフケアではなかなか落とせない歯の汚れを除去することです。
日頃の磨き残しや、歯ブラシが届かない歯周ポケット内の歯根の部分をきれいに磨き上げ、見えないところまで汚れを徹底的に取り除きます。
歯石除去などとは異なり、強い刺激はありません。PMTCは治療ではなく、予防や治療後のメインテナンスであるため、歯科医師のほか歯科衛生士も担当できる施術です。
スケーリング・ルートプレーニング

スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる器具によって、主に歯の表面に付着している歯石やバイオフィルム(細菌膜)を除去する処置。そしてルートプレーニングは、歯周ポケットの内部に付着している歯石や、歯根表面の汚染されたセメント質を除去し、歯の根(root)をかたく滑らか(plane)にする処置です。
治療の際には両者に明確な境界はなく、スケーリングとルートプレーニングは一連の作業として同時におこなわれるため、両者の頭文字をとってSRPとも略されています。
ブラッシング指導(TBI)

TBIとは、歯科衛生士による歯磨き指導のこと。トゥース・ブラッシング・インストラクションの略語です。
「今さら歯磨きの仕方を習うなんて」と思うかもしれませんが、実は、正しい方法での歯磨きをできていない方はとても多く、むし歯や歯周病の大きな原因にもなっています。
歯の磨き方のくせを直し、セルフケアの質を高めることは、お口の健康状態の維持・向上のために非常に重要です。毎日の習慣である歯磨きの方法を、今一度見直してみませんか。
定期検診

定期健診では、歯だけでなくお口全体のチェックをおこないます。むし歯や歯周病のメインテナンスとして定期健診を取り入れ、再発防止に注力する歯科医院もあるほど重要なものです。
当院では歯石の取り残しなどがないか、などのお口のチェックから歯周ポケットの深さを確認する検査や、一年に1度はレントゲンを撮影し、お口全体の状況を確認しています。
また親知らずなどの外科手術後は経過観察を行いその後の異常がないかを確認しています。
ご自宅でできる予防歯科
セルフケアについて
毎日の歯磨き

毎日の歯磨きは、お口の健康を守るためには非常に重要なケアです。しかしながら、正しい歯磨きの方法が身についている方はあまり多くありません。
歯科医院でブラッシング指導を受けて正しい方法を知ることで、歯垢や着色汚れをより効率的に落とせるようになります。薬用成分入りの歯磨き粉をあわせて使えば、お口の中の細菌を殺菌したり、増殖を抑えたりする効果も得られます。
デンタルフロス

歯垢(プラーク)は、歯の表面だけでなく歯と歯の間にも付着しています。歯間のケアにはデンタルフロスを使いましょう。
歯ブラシとデンタルフロスを併用することで、歯垢の除去率は約1.5倍にもなります。デンタルフロスには、ワイヤー型や糸ようじ型などさまざまなタイプがあるので、自分に合うものを探してみてください。
(クリニカのHPより)
予防歯科の詳細情報
診療前の注意点
- 継続的な来院や健診が必要となるため、ご自身によるスケジュール管理が求められます
- 普段から清潔に口腔内環境を維持している場合は、治療効果を実感しにくい場合があります
- 正しいセルフケアを実践しないと、虫歯や歯周病などのリスクが高まります
- エアフローなどの自費診療になるケースが多く、治療費の負担が増えることもあります